言葉で探る花のスタイル
いつのころからか、海外のフローリストに取材するときに同じ質問をするようになりました。
「あなたの花のスタイルを言葉であらわすと、どんな言葉がぴったりですか」
花というのはテクニックもさることながら、生ける人の感性や人間性、品性があらわれます。それはとっても繊細なもので、言葉では到底あらわしきれないもの。でも、あえて文章でそれをつかみたい、と思うのです。
「あなたの花のスタイルを言葉であらわすとどんな言葉になりますか?」
パリでいちばん多く聞かれる言葉は「ロマンティック」&「エレガント」。
ロンドンでは「シンプル」「クリーン」「ニート」。
ニューヨークでよく聞かれるのは「オリジナル」と「ユニーク」。
そして日本では「優しい花」、「心が和む」「心を癒す」です。
多くの人の口からくり返される同じキーワード。取材を重ねるうちに、人々が花に何を求めているのか、そしてその国の人々の美の基準のようなものが見えてきます。
また、質問をしたときの受け答え方も独特なものがあります。パリやニューヨークではわりあいはっきりと、自分のスタイルを即座に言葉であらわしてくれます。ロンドンでは「私はプロだから顧客が望めばどんなスタイルもつくれる」と、一言ことわりがあったその上で、自分のスタイルはこうこう、と語ります。そして、日本のフローリストはややとまどい、まるで心の中を確かめるように、言葉を慎重に選びながら答えてくれることが多いのです。
次回海外の花特集を御覧になるとき、各国のキーワードを思い描いて見ていただくと、また違った角度から楽しんでいただけると思います。